また話すことがない…って、気が重くなってない?
「明日の1on1、何を話そう。……特にないんだよな」
カレンダーの予定を見て、そっとため息をついたこと、ない? ボクもそれ、わかるよ〜。
深海3000mにはね、自分で光るお魚がたくさんいるんだ。仲間に「ここにいるよ」って合図を送るために光るお魚もいるんだって。でも、暗い海でただ「光って」と言われても、何のために光ればいいのか分からないよね。
ボクの相棒もね、上司と週に1回か、2週に1回の1on1をしていることが多いんだ。始まると上司が「何か話したいことある?」と聞いてくれる。でも特に思いつかないと、そのまますぐ終わっちゃうこともあるんだって。事前に話すことがないと、「じゃあ今日はスキップにしようか」となる日も、ときどきあるみたい。話すことがあっても、中身はだいたい業務の話。
相棒は、自分から話したいことが特になくて、1on1がなんだか億劫になってるんだって。「本当にそれでいいのかな?」って、引っかかってもいるんだ。
ねえ、話すことがない日って、本当に「話すことがない」のかな?
でもね、話すことがないのって、本当にキミのせい?
同じもやもやを抱えている人は、けっこう多いみたい。ボク、海の上の掲示板をのぞいてみたんだ。
- 1on1の前に「話したいトピックを出して」と言われたけど、何も思いつかなくて困っている人
- 自分から頼んだわけじゃないのに、話題を用意するのはいつも自分の側で、それがいやだという人
- 「どうぞ」で始まって、自分が黙ると上司も黙ったまま、しーんとしてしまう人
ここで「1on1 話すこと」で調べると、話題のネタ一覧がたくさん出てくるよね。「キャリアの話をしよう」「困りごとを準備しておこう」って。
でも、それを読んで楽になった? 話すことがないうえに、話題まで準備しなきゃいけないって、宿題がひとつ増えただけな気もするんだ。
ボクの相棒もね、本来の1on1は、部下が自分でも気づいていない悩みや課題を、上司がじっくり聴いて引き出す時間だと思ってるんだって。聴いてもらううちに気づきが生まれて、次の行動が変わる。そういう場のはずなのに、話題の用意を部下に任せすぎじゃないかなって感じてるんだ。
「話したいことがない自分って、やる気がないのかな」って思ってない? ボクはね、それはキミのせいじゃないと思うんだ。どうしてそう思うのか、これから一緒に潜ってみようよ。
話すことがないのは、準備が足りないからなのかな? それとも……?
1on1が空っぽになるのは、話題の用意が部下だけに乗っているからかも
部下の約3割が「効果を感じない」
日本の正社員3,000人に聞いた調査では、1on1の「効果が感じられない」と答えた部下が約3割いたんだって。モヤモヤしているのは、キミだけじゃないんだね。
おもしろいのは、同じ調査で、部下が話す割合が高い人や、テーマを部下が決めている人ほど、成長を実感している傾向が見られたこと。
あれ? それなら「部下が話題を持ってくる」のが正解なのかな? ……ボク、ここで少し考えたんだ。
「主役になる」と「丸投げされる」は別物
部下が話の主役になることと、話題を用意する責任を部下だけが背負うことは、似ているようで違うんだよ。
その調査でもうひとつ目立ったのは、成長の実感といちばん強く結びついていたのが、「上司も本音を話してくれている」と部下が感じることだった点なんだって。上司が問いかけて、聴いて、自分のことも話してくれる。そういう積み重ねがあると、部下も話しやすくなるのかもしれないね。
「何か話したいことある?」と聞いて、なければ終わり。これだと、部下に主役を渡しているように見えて、実は場をつくる役目まで部下に渡しているのかもしれない。
スキップが続くと、話す意味まで薄れていくことも
会議を研究しているロゲルバーグさんは、本の中で、1on1のキャンセルが続くと部下には「後回しにされている」と受け取られかねない、という見方をしているんだって。
ボクの相棒も、ときどきのスキップや短く終わる日が重なるうちに、上司と話す意味そのものを感じなくなっていったんだって。1回1回は小さくても、重なると効いてくることがあるのかもしれないね。
話題がない日こそ、聴いてもらえたら、何かが出てきたのかもしれないね。
実は、上司も“何の場か”を決めきれてないのかもね
「この上司と話しても、もう意味ないかも」って感じてたら、それも自然なことだと思うよ。でも、見切りをつけるのは、もう少しあとでもいいんじゃないかな。
ここまで読むと、「じゃあ上司が悪いの?」って思うかもしれない。でもね、ボクはそうとも言い切れないと思うんだ。
1on1は職場の会議のおよそ半分を占めるのに、研究はまだ少ない、と研究者たち自身が指摘しているんだって。上司も、何のための場なのか、どう進めればいいのか、はっきりした答えを持たないまま、手探りで回しているのかもしれないね。
ボクの相棒はね、自分が後輩と1on1をする立場でもあるんだ。そのときは「この時間に、本当に話すべきことは何だろう?」と意識しながら、全力で聴くようにしているんだって。
聴く側に立ってみるとね、ボクは思うんだ。「特にないです」って言葉は、本当に何もないからとは限らない。まだ言葉になっていないだけかもしれないって。それを一緒に探せたら、聴く時間はきっと変わるんじゃないかな。
だから、キミが1on1で話すことが見つからないのも、キミの中が空っぽだからじゃない。深海の光るお魚みたいに、光る理由がまだ見つかっていないだけかもしれないよ。
話すことがない人なんて、本当はいないのかもね。
次の1on1で、ひとつだけ聞いてみようよ
とはいえ、上司に「もっと聴いてください」「コーチングを学んでください」とは、なかなか言えないよね。ボクの相棒も、「それは難しいよね〜」って言ってたんだ。
そこで相棒が「これならできるかも」と思っているのが、1on1そのものについて、上司に聞いてみることなんだって。ボクがおすすめしたいのは、この問いだよ。
「1on1で、どんなことを意識してますか?」
タイミングは、上司が「何か話したいことある?」って聞いてくれたとき。「特にないんですけど、この時間をもっとうまく使いたくて」って前置きしてから聞くと、文句じゃなくて前向きな質問に聞こえるよ。慣れてきたら、「この1on1って、何のための時間だと思ってますか?」と聞いてみてもいいかもね。
上司にとっても、「何の場か」を考え直すきっかけになるかもしれない。キミと上司で、この時間の使い方をすり合わせる最初の一歩にもなるかもね。
もし上司に聞くのがまだ怖かったら、キミが後輩や同僚の話を聴く側になったときに、「本当に話すべきことは何だろう?」と考えてみるところからでもいいんだよ。
- 🐋話すことがないのは、キミの中が空っぽだからじゃない
- 🫧主役になることと、話題の用意を丸投げされることは別物
- 🐚スキップが続くと、話す意味まで薄れていくことがある
- 🌊次の1on1で「どんなことを意識してますか?」と聞いてみる
次の1on1は、キミが光る理由を、上司と一緒に探す時間になるかもしれないね。それでも上司に話しにくいときは、上司以外に話せる人がいてもいいんだよ。
ここまで一緒に潜ってくれてありがとう! 次はこっちも覗いてみてね。
上司に話しにくい理由を、もう少し潜ってみる?
「上司に相談できない」のはなぜか、そして上司以外の“斜めの関係”が逃げ場になる理由を、別の記事で話しているよ。
斜めの関係が、困ったときの逃げ場になる
調査 · 2025パーソル総合研究所
20〜59歳の正社員3,000人へのネット調査(2024年6月実施)。部下の約3割が1on1の効果を感じていないこと、部下が話す割合が高い人やテーマを部下が決めている人ほど成長の実感が高い傾向(相関)を示した。
書籍 · 2024ロゲルバーグ
会議の研究者が、上司と部下の1on1の進め方をまとめた本。1on1を頻繁にキャンセルすると、部下に「後回しにされている」と受け取られかねないと論じている。
Rogelberg, S. G. (2024). Glad We Met: The Art and Science of 1:1 Meetings. Oxford University Press.
論考 · 2022フリンチャムほか
上司と部下の1on1は職場の会議のおよそ半分を占めるのに、実証研究が乏しいと指摘した論考。グループの会議との違いを整理し、今後の研究の課題を示している。

